さて、いよいよ夏休みに突入である。とはいっても、学生ではないから休みとは無縁なのだが、かといって無関係でいられるかといえば、そうでもない。
 「ねえ、どっか連れてってよ」攻撃が寝起きを襲うのである。向こうは連続40日間の休み。こちらはカレンダー通りの休みもおぼつかない状態。そのギャップの中で、夏休みにはどこかに遊びにいくもとの決め込んでいる子どもと、どこへも連れていかないことに罪悪感におぼえる我が身の両方が愛おしくなってくる。そこで「そうだよね、夏休みだものね、どっか行かなきゃね」とか言いながら、行き先を探すのだが、これがまた、なかなか見当たらない。せっかくの夏休みだから、野外で、健康的に、加えて経済的でお手軽に、エキサイティングな体験ができる場所はないものか。でも、熊本にそんな場所はあるのかぁ! あ〜、いったいどこへ連れていけばいいんだ! ということになる。今、新聞読みながら同じことを考えていませんでしたか、ねえ、ご同輩。
 というわけで、「これからでも間に合う、お父さんのための、夏休みお出かけスペシャルプラン 熊本編」をご紹介しよう。
 夏といえば海である。釣りをする人と海の近くに住んでいる人以外は、この時期に海に行っておかないと、年末に「あれ、そういえば今年は一度も海に行かなかったなぁ」なんてことになりかねない。それが積み重なると「あれ、そういえば、ここ何年か海に行ってない気がする」ということになってしまう(なってもいいという方は別の記事を読んでください)。阿蘇は夏もいいけれど、春も、秋も、冬もいい。しかし、一般の方にとって、海(の中)がすばらしいのは、夏だけなのだ。だから、この時期に、行こう、海に! というのが今回の論旨である。
 さて、ではどこの海に行くのかといえば、天草西海岸だ。東シナ海に面した紺碧の海は、冬だとちょっと怖い。でも、夏なら、きらめく陽光の下で、開放的に出迎えてくれる。さらに場所を限定すれば、下田の妙見浦と牛深の砂月海水浴場である。そして、そこで何をするかといえば、シュノーケリング。自然の水族館を楽しむのである。目の前を泳ぐ、クマノミ、ハタタテダイ、ソラスズメダイ、チョウチョウウオといった原色系の魚に出会うこともできるのだ。道具はマスクとシュノーケル、フィンがあればOK。初心者用なら、セットでも5000円以下で手に入る。子どもがあまい小さければ無理はできないが、可能な範囲内で、レベルに応じた体験をさせるといいだろう。もちろん、岩場周辺がおすすめポイントだが、危険も大きいので、十分に注意を。心配な方は、体験スクールをやっているところがあるので、一度きちんと基礎を教えてもらうと、さらに楽しみは広がるはずだ。最初のうちは無理に潜らなくても、海の中をのぞきながら水面を移動するだけでも楽しい。
 「ねえ、どっか連れてってよ」「おう、まかせとけ! 潜りにいくぞ」
 夏にしかできない、熊本でのエキサイティングな親子体験がそこに待っている。

アウト道(16)

親子で楽しむ、夏休み野外体験

天草西海岸でシュノーケリング

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