一、手軽で、失敗がないこと
しっかりした味付けであること
汚す鍋や食器が最小限であること
焚き火で作れること
冷えてもうまいこと
翌朝も食べられること
適度なワイルド感があること
 これは、ボクが考える野外料理の条件だ。アウトドア料理の定番、カレーやバーベキューも、これらすべての条件をクリアするのはむずかしい。両方とも冷えたらまずいし、バーベキューに至っては絶対翌朝に食べたくない。また、妙に上品な薄味の凝ったお料理も場違いである。基本的に野外では汗をかき、体力を消耗している。そんな時は適度な塩分があって、味の濃いものの方が美味しく感じるものだ。
 そこで、ボクが個人的にお勧めしたい、初級編と上級編のメニューを一つずつ紹介しよう。まず初級編から。
 料理名は「ポークビーンズ」。給食のイメージが強い人もいるようだが、ボクにとっては西部劇に登場するカウボーイが作ってみせる焚き火料理の象徴である。作り方はいたって簡単。タマネギのみじん切りとベーコンもしくは豚肉を炒め、大豆の水煮と少量の水と固形スープ、トマト缶を入れて、塩こしょうで味付けをするだけ。所要時間は15分程度。使う道具は鍋1つ。ご飯にかけてもうまいし、パンに浸してもいい。冷えてもうまい。翌朝は水を足して、ご飯をぶち込んで、リゾット風にしてもいける。
 一方、上級者には鶏の丸蒸し焼きをお勧めしたい。これこそ、調理器具を要しないアウトドアならではの豪快料理であり、パフォーマンス性抜群のサバイバル系メニューである。
 まず、鶏丸を用意する。お肉屋さんに事前予約しておくと簡単に手に入る。1羽1000円くらいだ。これに塩こしょうをすり込み、アルミホイルに包み、濡れた新聞紙で覆う。鶏の腹の中に、セロリ、タマネギ、ニンニク、パンを炒めたものを入れておくとなおいい。
 次に30cmほどの穴を掘り、火をおこす。おき火になった頃に新聞紙で包んだ鶏を穴に入れ、土をかぶせ、その上でさらに焚き火を続ける。2時間ほどして穴を掘り起こすと、中から柔らかく蒸し上がった鶏の丸焼きが登場するという仕掛けである。最後のアルミホイルを開けて鶏が見えた瞬間、拍手喝采が起こること請け合いの料理だ。ついでに、ジャガイモやニンジンなども丸ごと突っ込んでおくと、付け合わせも一緒にできてくる。翌朝は鶏ガラのスープをとってもいいし、残った実をほぐしてチキンライスも悪くない。
 最近はダッチオーブンでこの料理をする人も増えてきたが、ワイルド度は格段にこっちの方が上だし、インパクトもある。ぜひ、お試しあれ!

アウト道(3)

野外料理七箇条

鶏の丸蒸し焼きに挑戦!

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