いよいよ開拓の始まりである。
カメラマンの新川さんが、自前の刈払機持参で参加してくれることになった。こちらは、鹿北町役場から刈払機を1台調達して、現地に臨んだ。
やはり、状況は壮絶である。特に畑を作る予定の場所は、ジャングル状態。中に入ると人影も見えなくなってしまう。いったい、どうなるのか、どうなっているのか、不安と少しの興奮を胸に、刈払機のエンジンを指導させた。
刈払機を扱うのは初めてである。使っている姿は良く見かけるので、どう扱うのかは分っているつもりだったが、それでも最初は木の根っこに刃を食い込ませたり、草やつたを刃に巻き込んで動かなくしてみたり、それなりに悪戦苦闘が続いた。
それでも、10分もやっていると要領がつかめて俄然面白くなってきた。新川さんとふた手に分かれて猛然と草を刈っていったのだが、自分が歩いた後に確実に道ができていく感触は、何とも気分のいいものだった。
目の前には身長よりも高いような草が生い茂っているが、ふと振り返ると後方には視界がひらけているのである。
あんまり一心不乱に続けていたので、時間の経つのも忘れていた。長時間連続で使っていたので、手が痺れ、小学校の時に習った「ハクロウ病」みたいにな状態である。
しかし、根を詰めたお陰で、2時間足らずで畑一帯の全容が明らかになりつつあったのである。
(つづく)
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