こんな山道をかき分け、かき分け探して回ったのだが…
鹿北ではよく見かける風景。子どもたちは当たり前のように川で泳ぐ、川で遊ぶ |
でも、言葉とは裏腹に、田中さんは優しかった。
「とにかく、鹿北町の中に気に入る場所があるか、見てみてください。 もし、見つかったら私がその持ち主と交渉してみましょう」
夢のような話である。何度も重ねてお礼を言って、役場を出た。さっそく、鹿北町中を徘徊だ。基本的には川沿いの道をシラミつぶしに走ってみるという方法をとった。かなり小さな川も含め、鋪装されていない林道にもグングン入っていった。
そうして走ってみると、鹿北町には川が多いことが分った。中心は岩野川。上流に向って遡っていくと、キャンプ場などもある岳間渓谷もある。この本流に対して、いくつもの支流が流れ込んでいて、これがまた魅力的な清流揃いなのである。また、以前に紹介したように、これらの川には多くの古い石橋がかかっている。石橋巡りだけでも十分に楽しめるはずだ。
さて、延べ2日間、鹿北町中を走り回ることとなった。かなり魅力的なところもあったが、もうひとつ決め手に欠けた。しかも、山林として登記してある土地が前提となるので、現状を見ただけでは小屋や畑のイメージが持ちにくい。
結局、また田中さんに泣きつくことになった。
「見つかりません。どこかいいところ、紹介してください」
「わかりました、こちらでも当ってみましょう」
心苦しいばかりの対応に、何度も頭を下げたのだった。
(つづく)
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