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第02回 2002年09月26日掲載


土地探しスタート早々に、難問に激突!

 さて、場所探しといっても、雲をつかむような話である。
 これといって心当たりがあるわけではない。九州には自然がいっぱいある。ちょっと車を走らせれば大自然だらけな分、場所を絞り込むのは難しくなる。
 正式に土地を借りるとか、買うとかになれば、不動産屋にでも相談すればいいのだろうが、“できればタダで” と考えているから余計に話は難しくなる。
 こんな時に僕がよく使う手が“言い触らし”作戦だ。とにかく、会う人、会う人に「実は今度、山の中に小屋建てて、畑耕そうと思ってるんですけど、どこかいいところ知りません?」と声をかけるのである。
 よくしたもので、大抵何らかの反応はある。その反応に身を委ねてしまうという方法だ。相手本位 の、まことに主体性のない方法だが、漠然としたイメージを、現実のものとして動かしていくには、侮れないやり方だと思っている。

 そうこうしているうちに、反応があった。
「熊本県と福岡県の県境、鹿北町の役場の人が話を聞いてもいいと言ってくれているそうです」
 うちのスタッフの森君がそんな情報を持ってきてくれたのだ。


鹿北町役場の田中さん。後に、このプロジェエクト の立役者 になっていただきました


鹿北町役場。床には地元産の杉が張りつめてあって、歩くとキュキュと音がします。鹿北町は石橋でも有名な、由緒正しき日本の田舎といった感じのところです

 役場の方と話ができるのは非常にありがたい。なにせ、こちらは土地のことについても、農作業のことについても子ども同然。まずは、基礎的な知識や情報をえなければいけないが、役場の人なら親切に教えてくれそうである。
 さっそくアポをとり、鹿北町役場に向うことになった。僕の住んでいる熊本市からは、車で約1時間の距離。毎週通 うにはちょっと遠い気もしたが、まずは話だけでもと思い、紹介された農業委員会の係長をしている田中成二さんを訊ねた。
 ひと通りの説明をすると、田中さんは少し困ったような顔をしていた。
「市民農園のような形態なら…」
「違うんです、自分でやりたいんです。最初から」
「できれば畑をお借りして、そこに小屋を建てて…」
「それはできません」
「えっ」
「少ない面積の農地の貸し借りは農地法上でできなくなっていますし、農地に建物を建てることも違法です」
「……」
 最初から、このプロジェクトは大きな壁に激突したのである。
(つづく)


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