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第01回 2002年09月14日掲載


週末を過ごす場所と、食材への関心

 アウトドア的な遊びは大変好きだし、キャンプなんかもよく行く方だと思う。でも、年を重ねるごとに“イベント的アウトドア”ではなくて、日常生活の延長線上にあるアウトドア、つまり“週末はいつもここにいます”的野外生活環境を強く求めるようになった。
 普通だとここで別荘やログハウス、なんて話になるのだろうが、残念ながらそんな甲斐性は微塵もない。では、どうしたら思いは遂げられるのだろうか。悶々とした日々を送っていた。
 その頃、食事で口にするものに対する興味というか、関心が急速に高まっていた。正確に言えば、食材の出所が気になり始めたのである。「やっぱり、自分で作るしかないかな」。そんな気にもなっていた。
 そんな時、1冊の本と出会った。本屋でふと目が止まり、3619円もしたのに、我慢できずに衝動買いしてしまった。タイトルは「小屋の力」。
 ページに目を通しながら、心臓がドキドキした。何だか分からないけれど、非常に興奮した。 こんな本が編集できるうらやましさもあった。 でも、それだけではない。
  そうだ、小屋だ、小屋なら自分で作れる。そこを週末の住処にして、野菜作りに勤しもう。

「小屋の力」
(ワールドフォトプレス刊)

 それからものすごい勢いでイメージが膨らんでいった。
 どこか、人がいなくて、川が流れていて、家からさほど遠くない場所に小屋を建てる。小屋のいいところは、何しろ手軽である点。つまり、あまりお金がかからない(ような気がする)ところである。時間もさほどかからないはずだ。
 それに、解体して他の場所に移すことも容易な気がする。何らかの事情で移転を余儀なくされても、
「あっ、いいスよ。来週、引っ越します」
というような具合にいきそうな気がするではないか。
  小屋の大きさは8畳程度。あまり大きすぎては、いけない。森の中にある、文豪の隠れ家的書斎小屋のイメージである。
 部屋は小さくていいけれど、テラスは広めに確保したい。そこにハンモックを吊るして、昼寝をするなんて最高だろう。


 そして、小屋の目の前で、畑を耕すのである。 ベランダの菜園だけでは作りきれない野菜を育てて、秋には仲間を呼んで収穫祭を開くのだ。新鮮な素材で料理を作って、みんなに振る舞おう。たくさん採れたら、東京にいる友人たちに送ってもいい。みんな羨ましがってくれるに違いない。ほらほら、楽しくなってきたではないか。
 要は、畑に常設のプライベートキャンプ場を作るようなものである。週末はそこで過ごすことに決めよう。
 本当にそんな贅沢なことができるのか、見当もつかないが、まずは始めてみよう。動いてみよう。考えるのはそれからだ。
 2001年、秋。
  こうして、場所探しと小屋の設計図作りが始まった。
(つづく)  

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