
海苔の養殖風景。去年は豊作だったとか

取り引きされる海苔。出荷は秋と冬の2回
行われる。海苔にはランクが付けられ、 上質のものは、高級料亭や企業に買い取ら
れ、献上品としても取り引きされる。
写真提供/川副町役場企画課
■取材協力・写真提供
川副町役場企画課
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大託間漁業協同組合
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このコーナーでも度々登場する有明海は、長崎県、福岡県、熊本県、佐賀県に面
しているが、海苔の養殖はそのすべての県で行われている。いわゆる“有明海苔”と呼ばれている海苔は、これらの総称だ。
4県の中でもトップの収穫量を誇るのは佐賀県。年間70〜80億円の売り上げを誇り、全国シェアの約5割りを占めるほどの生産量
を保っている。
有明海は、おだやかな内海で、潮の干満の差が激しく、干潟を持つことで有名。その、特有の地形が有明海苔の養殖に適しているのだという。
全国では、九州のほか、瀬戸内海や愛知県、千葉県などで作られているが、有明海のような潮の流れをもつ海は珍しいようだ。
現在、佐賀県の海苔生産者は約9000人。
佐賀県大詑間漁協の加茂さんに「儲かりますか?」と聞いたところ、
「海苔を養殖するための機械代や船などの設備投資がけっこうかかるんですよ。だから、そんなに儲かるものでもないですね」
との返事。
また、もう一つ面白い話を聞いた。海苔の出荷は米が多く取引きされる時期と重なるのだそうだ。
米が多く取引きされている時期。それは、花見や紅葉、運動会、ゴールデンウィークなど、人が多く出かけるシーズンである。
「みなさん、お弁当を持っていく出かけるでしょ。おにぎりが必要になるんですよね」
加茂さんの言葉に納得。なるほど。おにぎりに使うために海苔が必要となり、売り上げが伸びるのか。
最近は、海苔を買って、家でおにぎりを作る家庭が減っている代わりに、コンビニのおにぎりを購入する人たちが多くなっているとか。そのせいもあり、コンビニのおにぎり用に取り引きされる海苔の量
は出荷量の約7割を占めている。
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