「最初の頃は、餌の量が安定しなくて、牛乳の成分も不安定でした」と語る織田さん。サイクルが安定するにしたがい、牛乳の成分も安定しているそうです。
今年11月上旬には、阿蘇で初雪を観測。「雪が降ると、車のタイヤ替えたり、水道管の凍結を気にしたり、大変ですよ」と織田さん。放牧開始後、今年初の冬に向います
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■織田牧場の年間スケジュール
1月 飼料期間
2月 ↓
3月 野焼き 牧草チェック
4月 ↓
5月 牧草の収穫
6月 ↓
7月 牧草の収穫
8月 ↓
9月 牧草の種まき
10月 牧草の収穫
11月 冬支度 飼料期間
12月 ↓
織田さんの牧場の特徴は、「放牧」にあります。
飼育用の牛舎を持たず、通年、牛たちを牧場で放し飼いにしているので、牛舎の管理という仕事が発生しないのだそう(ちなみに、現在織田さんが造っている牛舎は、搾乳用の牛舎です)。
よって、一年間のスケジュールも、けっこうばっさりとしたものになっています。
牧草の管理と収穫。1年の大きな流れは、この二つがポイントになっているようです。
1年の始まりは、阿蘇では風物詩となっている、「野焼き」からスタートします。良質の牧草地を保つために、余分な雑草を焼くことを目的の一つとしています。
「牛の病気の原因になるダニなどの害虫駆除の意味合いもあるんです」と織田さん。
野焼きが終わると、阿蘇に春が訪れます。
12月現在、こよみの上では、冬支度を始める時期。牧場内に自生する牧草が減り始めるため、牛たちに飼料を与えて、栄養分を補います。牛の健康は、牛乳の成分にも影響を及ぼします。
「放牧は、あくまで牧草で育てるのが基本」と織田さん。
牛舎で行う酪農は、飼料で育てるため、牛の健康管理も行いやすく、牛乳の品質も安定します。しかし、織田さんの営んでいる放牧では、牧草を安定して供給することが大事な要素となるようです。
そのため、自生の牧草とは別に、9月には牧草の種まきを行います。品種は「イタリアンライグラス」。早く育つのが特徴の牧草で、5、7、10月に収穫し、冬に備えるのだそうです。
いかに、健康な乳牛を育てるか。織田さんの仕事は、通年を通して良質な牧草が生い茂る牧場つくりがキーになるみたいです。
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