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[今週の道具]


枝打ちロボ
 一見すると、何に使う道具かはさっぱりわかりませんね。
 これは、枝打ち専用の道具で、通称“枝打ちロボ”。
 ガソリンエンジンを原動力とし、チェーンソーと、木を昇降するためのタイヤが装備されています。
 機体は、俯瞰で見るとドーナッツ状になっています。使用方法は、木に巻き付け、エンジンを始動。後はリモコンで操作し、木を登らせながら、余分な枝を落としていくのです。
 安藤さんによると、これを使う時点では、木は出荷間近の状態にあるとか。出荷する木は、枝の生え口である、“節”が目立たないことが求められます。
 しかし、節を目立たせないようにするには、切り口のするどい刃物で丁寧に枝の根元を切り落とさなくてはなりません。一番適しているのは、前号で紹介した「スプリングカッター」だそうです。チェーンソーでは、切り口が荒く、枝打ちには適していない道具なのです。
 そこで、枝打ちロボの役目は、すでに枝打ちの必要がなくなった木の体裁をよくするために用いることが多いのだそうです。
 安藤さん曰く「登っている最中に燃料が切れると大変」なのだとか。
 枝打ち中に燃料がきれると、ロボは当然身動きがとれなくなってしまいます。その場合、操作者が木に登り、ロボを下ろしてあげなくてはいけません。地上からケーブルが命綱のように付けられていますが、下ろすにはそれなりの手順というものが必要なようです。
 ハイテク機械かと思いきや、案外お茶目な弱点をもつ道具ですね。


安藤さんの暮らし





来週からお送りする間伐体験は、安藤さんの山で行われました。


■林業の年間スケジュール
 1月  主伐
  2月  ↓
  3月  地ごしらえ
  4月  苗木の植樹
  5月  ↓
  6月  下刈り
  7月  ↓
  8月  ↓
  9月  枝打ち・除伐
  10月 ↓
  11月 間伐
  12月 ↓

 木が出荷されるまでは、約20年という歳月が必要ですが、その間、木の手入れを怠ると、成木になっても商品になりません。
 そこで、今回は林業の一年間のスケジュールを見てみることにしましました。
 1月。木を出荷するための、主伐が行われます。気候が乾燥した季節は、木は含まれる水分が少ないため、腐り難く、変型することも少ない状態になります。この期間に伐採し、製材して売りに出されます。
 2月〜3月。4月からの苗木の植樹に備えて主伐した後の土地を整地します。
 4月〜5月。新しい苗木を植えていきます。苗木は、森林組合でまとめて購入することがほとんど。主に、日本で植えられている林業用の木はヒノキかスギなのだそうです。
 6月〜8月。苗木の育成を阻む雑草や、ツル、シダ植物を駆除する下刈りを行います。成長の遅い苗木が雑草に覆われて、日光を充分に受けることができない状況を防ぐためです。ある程度の成木になるまでは、この作業を繰り返します。
 
9月〜10月。余分な枝を落とし、材木としての体裁を整えていく作業が枝打ちです。前号でも紹介した通 り、きれいに枝を落とし、まっすぐに成長した木ほど、商品価値が高い。そのため、枝打ちは、丁寧に行わなければならない作業のひとつです。
 11月〜12月。成長の悪い木を切り倒し、質の良い木だけを残す、間伐。野菜を育てる際に行う“間引き”と同じ効果 をもつ作業です。切り倒された木も、質の良いものは売りに出されます。最終的には、敷地に植えてある木の2/3を切り倒すのだそうです。


■次回予告を兼ねて…
 当コーナー担当者が、大野町の森林組合からのお誘いを受け、間伐体験にいってまいりました。
 山で働く人たちの偉大さと、林間作業の大変さをちょっとだけ垣間見ることができました。次回『林業家の暮し』掲載分より2回に渡ってその模様をお送りします。






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