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[今週の道具]


コンバイン (クボタSR315)
 現代の稲作農家にとって、コンバインとトラクターは不可欠な存在。
 コンバインは、稲の刈り取りと脱穀の二つを行える機械で、このタイプで価格は約590万円ほど。作業中のスピードは約5km/hで、人が歩くスピードと同じくらいです。
 特徴があるのは、本体に横たわる、大きな筒状の「ロングオーガ」。これは、脱穀した米を、トラックに排出するための管なのですが、伸縮が自在で、このシリーズからは可動範囲が広がり、田んぼに横付けするトラックの場所を選ばずに作業ができるようになったとか。



澤田さんの暮らし


澤田さんの田んぼは7ヘクタール。隣には、最近澤田さんにならって有機栽培を始めた、知り合いの田んぼがあります




虫が付いたり、病気になりにくいよう、稲は1〜3本で間隔を広くして植える工夫がなされています。「収穫量 は減るけど、農薬にお金をかけることに比べればましですね」と澤田さん





この時期は、自分達の稲刈りはもちろん、知り合いの農家から刈り取りを依頼されることもあるとか。コンバインを使えば、一回の刈り取りを1時間ほどで終わらせることができます

■出水市ってこんなところ
 鶴の渡来地としても有名な、熊本県との県境に位 置する人口約4万人の市。ミカンやソラマメなどが特産品です。また、市のイメージソングを南こうせつが作っていることは意外に知られていないエピソードかもしれません。

■有機栽培のきっかけ
 
澤田さんが、有機栽培で稲作を始めたのは、今から約20年前のこと。
 鹿児島市内に勤めに出ていた澤田さんにとって、農家の仕事を手伝うようになって最初にショックを受けたのは散布する農薬の量 でした。
「農薬の散布は年に5〜6回。たくさん使えばいい米ができるという人もいたくらい」
と、自分の食べている米が、大量の農薬によって作られていることに愕然、そrが有機栽培を始めるきっかけになりました。

「最初は、有機栽培なんて私にはできないものだと思ってました。でも、実際にやってらっしゃる農家を見学に行って、本当にできるんだと感心し、私もやってみることにしたんです」
 以来、ご主人と一緒に減農薬から稲作を始めることに。

 しかし、無農薬での稲作は、当時周囲からは冷ややかな目で見られていたようです。
「一番、理解を得るのが大変だったのは、両親でしたね。軌道に乗るまでは反対ではないけれど、分かってもらえなくて」
 周囲の農家も、あまり関心を示してもらえなかったようです。
 最初の3年間ほどは失敗も繰り返したとか。しかし、周囲の目を気にしない、自分の意志を貫くご主人の強い意志が、現在の成功を作り上げていきました。

■家族でがんばってます
 周囲から有機栽培が注目されるうようになったのは、皮肉にもご主人の他界がきっかけでした。
 3年前にご主人を亡くした澤田さんは、当時プログラマーをしていた泰之さんと一緒に稲作を続けていくことに。
 農業は初挑戦の泰之さんと女性の澤田さんとで、果たしてそれまで通りのスタイルで農業を続けていけるのかに、周囲の関心は集まったようです。

「そのときに、言われたんです。『ほんとに農薬をつかわんとね』って。これをきっかけに理解してもらえる人がさらに増えましたね」
 現在は、元臨床検査技師の紘子さんを泰之さんのお嫁さんに迎え、3人でがんばっています。
「私も、農家の出じゃないから、ヒロちゃん(紘子さん)と気持ちが通じる部分があるんです。何にでも興味もってついてくるから(笑)」

 現在、刈り入れで大忙しの澤田さん一家。一年間の生活費を稼ぎ出す一ヶ月だけに、仕事は深夜まで及びます。 (つづく)






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