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[今週の道具]


スプリングカッター
 加工用の木材は、枝節(枝が生えた後)のない「無節」が良いとされています。

 無節材を作るためには、下枝を落す時(枝打ち)に、切れ味が鋭い刃物でなるべく特記部分が残らないように、スパッと切り落とすことがポイントになります。
 切り落とされた後の枝節は、樹皮に覆われ、新しい枝は生えなくなっていきます。
 その際、切り口がきたなかったり、突起部分が残っていると節がなかなか消えなかったり、節が残ったりすることになるのです。

 枝打ちに使われる道具は、主に4種類。ハサミの付いた高枝切り鋏、ナタ、チェーンソーなど。
  中でも、きれいな切り口を残すと林業家の間で定評なのがこの「スプリングカッター」です。

 本体の長さは約2m。シリンダーを内蔵し、伸縮が自在です。弧を描いている刃を切り落とす枝の根元にいったん食い込ませ、引き降ろしたシリンダーを突き上げると、なかり太い枝でも面 白いくらいにスパッと落ちます。

 ナタやチェーンソーに比べ、刃が薄く、切り口がきれいだと定評の道具です。



安藤さんの暮らし


安藤さんが所有しているのは、1万5000坪の山林。杉、檜(ひのき)、椚(くぬ ぎ)などが植えられています。






最近、イチョウも植えてみたとか。「特に目的はないんだけどね。たまには違ったもの植えてみようかってね」。もはや利益を得るための林業は、成り立たなくなってきているようです。

■大野町ってこんなところ
 大分県大野町は、国道57号線沿いに位置する、人口約6000人の小さな町。標高100m〜800mの高さにある丘陵地帯で、平均気温が15〜18℃と比較的穏やかな内陸性気候です。
 主な産業は農業。主に、米、たばこ、養蚕などが作られ、特にたばこは農業粗生産額の3分の1を占めているそうです。
 町の南側には雪舟も描いたとされる沈堕の滝があります。その雄大な流れは「大野のナイアガラ」と呼ばれるほど。また、木下磨崖仏や落水磨崖仏など、中世の遺跡も数多く残されています。

■20年後の木を想像する仕事
 日本の林業は、戦後間もなくから高度成長期にかけて
最盛期を迎えました。建築ラッシュから、木材が高値で取り引きされていたのです。
 しかし、家屋用の木材に安い輸入材木が使われるようになると、値段の高い国内産は敬遠されていきました。
  さらに、木材を使用しない工法の住宅の登場によって、国内産木材の需要はさらに落ち込みました。現在は手間と時間とお金をかけて木を育てても、見合った金額で売れないのが実情です。

■林業家って?
 林業は、植林から木材として商品になるまで何十年もかかる気の長い仕事。
  また、広大な敷地も必要とするため、多くは世襲制で営まれています。
  現在大野町の林業家は十数人。
 安藤さんをはじめ、ほとんどの人が、今では自ら山に赴いて作業することはほとんどなくなったといいます。
 どうしても作業が必要な時には 、森林組合の作業員さんたちに依託します。木を管理し、売り、見守るのが主な仕事となっているのです。






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