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[今週の道具]


船(和恵丸)
 村上さんの愛艇は、5年前に購入したもの。全長が32フィート(約10m)、230馬力の4気筒エンジンを搭載したヤマハ発動機製の船です。価格は約1500万円。
 村上さんの場合、遠洋に出たり、大きな網で漁をするのではなく、 早崎漁港を拠点にした沿岸での1本釣りが中心のため、装備は比較的シンプル。
1本釣りはエンジンをアイドリング状態にしたまま、潮の流れに同調させるように船をコントロールするのがポイント。そのために船尾にはスパンカーと呼ばれる1本マストと帆が設けられているのが特徴です。
  スパンカーは船首を風上に立てるためのもの。漁場では、風による横流れを防ぐために、常に船首を風上に向け、漁師さんは、常時微速でシフトを前進に入れたり、後進にしたりしながら、風流れを防ぎます。片手に前後進のリモコンスイッチ、片手に1本釣りの仕掛け、というのがお決まりのスタイルです。
 ちなみに、「和恵丸
」の命名は、長女の智恵さんの「恵」とご本人善和さんの「和」をとって付けたそうです。



村上さんの暮らし


かつては栄華をきわめた、お隣の口之津港と違って、早崎漁港は静かで落ち着いた港です





村上さん。これから1年間、1カ月に1回のペースで登場していただきます





小高い丘から早崎瀬戸を見下ろしたところ。対岸にうっすらと見えるのが、熊本県の天草下島です

口之津町ってこんなところ
 
村上さんの住む長崎県口之津町は、熊本県の天草下島地方を対岸に望む、島原半島の南端に位 置しています。早崎漁港のとなりにある口之津港は、その昔、南蛮貿易の拠点として、近代では三池炭坑の石炭を海上輸送する中継港として栄えました。現在では、口之津町はイルカウォッチングの町として有名です。

村上さんの職場
  村上さんの母港、早崎漁港は岬を挟んだ口之津港の裏側にあたります。入江の中には中小の漁船が並び、あこうの木が作り出す日陰が漁師さんたちの憩いの場となっています。
 今年で漁師生活5年目となる村上さんは、白髪まじりの無精髭と褐色に灼けた肌が、いかにも漁師といった風体。毎日朝5時半に起きてトレードマークのツナギに身を包み、朝の漁に出かけます。
 
漁場となるのは、港を出航してわずか10分弱で到着する日本三大潮流に数えられる「早崎瀬戸」。有明海の水が狭い水道を出たり入ったりするので、潮の流れが大変早くなるのです。
  流れの早い潮が、プランクトンを「早崎瀬戸」に集め、プランクトンを目当てに小魚たちが集まります。その小魚を追って大型魚が回遊しているのがこの海域。イルカもそのひとつです。
  早い流れで身が締まり、豊富なエサで大きくなったタイやイサキ、アジ、ブリ、カンパチなどが中心に漁獲されています。

(つづく)






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