高橋さんが急いでレッドヘッドのミノーをセットし、キャスティング。すると3投目あたりでヒット。上げてみると60cmほどのサワラであった。
「いるいる。食い気満々ですよ」
ナブラを追いかける操船の合間に、僕もルアーをセットしようとしてロッドスタンドの竿を手にとるが、どうもリールの調子がおかしい。航海中、潮まみれになったリールを水洗いする機会がなく、それが炎天下にさらされてベアリングあたりがおかしくなったのだろう、スプールがうまく回らないのだ。
千載一遇のチャンスはそう長くは続かない。ジグを付けていたので、それをミノーに付け替えようとしていたのだが、焦って海中にジグを落してしまった。そのジグにサワラがチェイス。相当活性が上がっているのだ。
そうこうしているうちに高橋さんが2本目をゲット。さっきよりひと回り大きい。80cmクラスだ。
「はははっ」
破顔の高笑いである。こちらは結局ワンキャストもできないうちに、ナブラは消えてしまった。
(つづく)
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