前に見えるのは呼子大橋
ボートを泊めさせてもらった呼子の「シーテラス呼子」。
40フィートくらいまでは係留できる立派な浮き桟橋があるので、船で訪れるには便利。イカ料理をはじめとする海の幸が堪能できる。TEL
0955-70-2077
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「何か変ですね」
「えっ」
「船が妙に少ないと思いませんか」
「そういえば…」
夕方だというのに、岸壁に係留してある漁船の数が異様に少ないのである。とりあえず、船の上から漁協に電話を入れてみた。
「どこか、泊める場所があれば教えて欲しいんですねど」
「申し訳ありませんが、本日は港内で花火大会が予定されてものですから、船舶の係留はご遠慮いただいているんですよ。漁船も、隣の名護屋港に移動してもらってるんです」
「花火大会…」
「名護屋港の方で聞いてみて下さい」
どうりで漁船が少ないはずである。台風で足留めに次ぐ足留めをくらった結果
、予定は大幅にずれ込んでいたが、おかげで花火を楽しめる事になったわけだ。いいこともあるもんである。
呼子港の対岸にある加部島に掛かる呼子大橋の下をくぐり、隣の名護屋港へ。誰か漁師の人にでも泊める場所を聞いてみようとトロトロと走っていると、海に面
したレストランを発見。その先に桟橋が出ているのだ。どうやらレストラン専用の桟橋らしい。
「交渉してみましょう」
店の責任者の人に理由を話すと、快く1泊の係留を了承してくれた。シーズン中は福岡あたりからボートで訪ねてくるお客さんも多いらしい。貴重な桟橋付きレストランだ。
「ついでにテントも張らせてもらいたいんですけど」 「お客さんが引けたらいいですよ」
図々しいお願いにも笑いながら応じてくれた。その代わりといっては何だが、成りゆき上、そのレストランでイカ刺を食べる事になった。イカ釣りは急遽中止である。新鮮なヤリイカは自分で釣らなくても十分に美味しかった。
食事の後は男二人で真夏の花火を堪能し、人気のなくなったレストランの敷地内にテントを張った。
時折、イカ釣船が航海灯を点して港を出て行く音と防波堤を洗う小さな波の音以外は、ほとんど何も聞こえない。頭上には満天の星空が広がっていた。
(つづく)
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