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博多湾沖


博多湾沖でルアーを引っ張ってみる

 

 いよいよ玄界灘である。

  イメージからすると「荒れた海」であるが、それは冬場の北西風が吹き付ける時期の話。この日は、鏡のような海が目の前に広がっていた。

  17マイルほど西に走り、福岡県玄海町の沖合いに浮かぶ大島をクリアしたところで南西に転針。そこからは一路壱岐島の南に向ってラムラインをとった。

 回転数は5500回転をキープ。20〜22ノットで順調そのものの走航である。

「快適ですね」
「これまでの海が嘘のようですね」

 日射しは強いのだが、潮風が素肌から気化熱を奪い取り、何とも心地よい。
「この分なら3時頃には呼子に着くでしょう」
「イカ釣りですね」 「うふふ」

 呼子はイカで有名なところ。そして、僕はイカ刺しに目がないのである。ヤリイカの透明でシコシコした身を思い浮かべると、自然と口元が弛んでいた。

 午後1時には、博多湾沖に到着。湾の奥には遠く霞んで福岡タワーやドームの屋根が光るのが見える。

「福岡も悪くなかったですね」
「マリーナに入って、夜の中洲の散策コースですか」 「うふふ」

 僕はイカ刺しもさることながら、夜の散策にも目がないのである。しかし、今回は男同士のサバイバル&アウトドアクルーズである。中洲は魅力的だが、どうもそのテーマにはそぐわない。湾の中に入りたい気持ちをグッと抑え、そのまま南西への針路を維持。

 目の前にかなりの数の鳥ヤマが出現した。時間はまだある。
「ちょっと流してみましょうか」
 鹿児島でシイラを釣り上げたヒコーキ仕掛けを取り出して、鳥ヤマと潮目を追い掛ける。スピードを落すと、ドッと汗が吹き出た。
(つづく)


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